還るべき場所

すざましい迫力の山岳小説。相当分厚い大作なのだが展開がどんどん気になって暇があれば少しでも読み進める形で読了した。単なるアドベンチャー小説ではここまで深くはならない。この小説はカラコルムの8,000m級の登山に関する描写がものすごく詳細であるところもすごいのだが、死を常に意識しなければならない状況に絡めて登場人物それぞれの人生観、死生観を色濃く詳細に描写しているところにむしろ価値があるのだろう。筆者はしばらくスランプに陥っていたと思うのだが、この作品できっちり脱出できたのではないか。

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