クレイジーボーイズ

楡周平の新刊「クレイジーボーイズ」を読んだ。水素自動車の普及を一気に加速化させる可能性を持つ特許を巡る謀略のお話。会社の従業員の功績によって、莫大な利益が転がり込む可能性のある知的所有権が会社のものとなった場合、従業員の功績はどの程度評価されるべきかという大きな問題を提起した中村教授の青色発光ダイオード事件をベースにして書かれていると思われる。本書では、特許を取得した張本人が何者かに殺されてしまい、その子供である主人公が犯人を追い求めるという仕立てになっている。読者には最初から犯人が特定されているので、これは推理小説ではなく、両方の追いつ追われつのプロセスをハラハラドキドキしながら楽しむ経済小説ベースのサスペンスといったところか。楡周平平均では中くらいのレベルの作品で、良くも悪くもない。


クレイジー・ボーイズ

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