インサイトが売れている

先週来、何回か報道でも取り上げられているが、この不景気下、ホンダの新しいハイブリッド車インサイトが相当に売れているらしい。CMを見るかぎりは何かセンスを感じられない下品な(よく言えば庶民的)感じなのだが、売れているのは、本体価格200万円前後という普通のセダンと変わらない価格で燃費が良く税制優遇も受けられるハイブリッド車を買うことができる点にあるのだろう。今頃、トヨタはもうちょっと早く新型プリウスを世に出せば良かったと歯ぎしりしているだろうし、新型のプライシングもちょっと難しくなるのではないか。

ところでこのインサイト、実は同じハイブリッド車ながら、プリウスとはだいぶコンセプトが異なるらしい。某自動車のエキスパートの方から聞いたのだが、自動車環境技術の粋を載せた本格的なエコカー志向のプリウスとは異なり、インサイトはアシスト機能付き自転車と同じように電気駆動系統をあくまでも補助機能として位置づけており、コストダウンのために相当にコンパクト化しているため、燃費性能もプリウスほどには上がらないとのこと(色々と詳細に説明してくれたものの割愛)。消費者視点では、要はパフォーマンスをとるか価格をとるかということなのだろうが、足下の景気を前提とすれば、数キロの燃費差を犠牲にしてでも手頃にハイブリッド車を入手したい消費者が多いはずで、そうするとインサイトに軍配が上がりそうである。もっとも、トヨタも現在のプリウスの簡略版を新型プリウスとしばらく併売するらしいので、むしろそちらとの戦いになるのか。興味深い戦いが繰り広げられそうだし、このようなよい競争が世界に対する日本の自動車技術の優位性を高めていくのだろう。