仕事の線引き

クライアントと、出張前の最後の打ち合わせ。何だか便利屋のように扱われているが、まあサービス業なので仕方ない。こんなときにふと思うのが、コンサルタントとしてどこまで引き受けるべきで、どこからきちんと断るべきかという線引きの仕方の難しさ。一番厳格に考えれば、契約書・提案書に書かれている以上のことは「範囲外です」と言って断るのが筋なのかもしれないが、契約書・提案書で書かれている範囲がいったいどこまでなのかというのは明確には定義しづらい。一方でクライアントの期待に最大限応えたいというのはコンサルタントの基本的な行動原理であり、自分の寝食を犠牲にしてでもクライアントに尽くしたいと考える。しかし要望を何でもかんでも引き取りコミットするというのは一見クライアントのためのように思えるが、すべてが中途半端になってしまい泥沼に陥る可能性大。僕がよくやる(おそらく他の多くのコンサルタントが同様の手口のはず)のは、一度クライアントの要望をすべて聞き切った後に、こちらのリソースを率直に示し、「A、B、Cそれぞれの論点を更に深掘りするのであれば、今度の報告会では中途半端な報告になるので報告会の日程をリスケしてはどうか」とか「最終報告まで2週間ある中ですべての論点を同程度に深掘るのには無理があるので、A、B、Cの3つの論点で優先順位を議論させてほしい」とかあくまでも低姿勢で切り出す方法。セオリーどおりと言えばセオリーどおりなのだが、これでうまく収まるケースも、結局中途半端になるケースも、やぶ蛇になるケースもある。先方の出方を見ながら失礼にならない範囲を見極めて詰めていくわけだが、今日は結局中途半端に終わってしまったケース。