辞職を承認する

3月末日が土曜日なので、1日早い今日、大臣名の辞職辞令をもらい、正式に国家公務員ではなくなった。辞令には「辞職を承認する」と一言書かれており、さらにもう1枚辞令をもらい、そこには「退職手当として金○円を支給する(国家公務員退職手当法第3条第2項適用)」と書かれている。国家公務員退職手当法とは何ぞやということで調べてみると、国家公務員の退職手当は原則として(1)退職時の俸給月額×(2)勤続期間×(3)乗数+(4)調整額という公式で決まるらしい。(3)の乗数というのがくせ者で、勤続期間が長ければ長いほど乗数が高くなり、また、自己都合退職の場合は乗数が低く、勧奨退職(いわゆる肩たたき退職)の場合は高くなる。要は典型的な年功序列体系となっているのである。勤続期間10年で自己都合退職の場合、乗数は60/100となっている。10年働いて退職手当が200万円強という金額が多いのか少ないのかよく分からないが、もう10年働き続ければ確実に桁が1つ増えることを考えれば、少ないような気がしないでもない。まあ、もらえるものがあるだけましである。


辞職辞令を持って挨拶回りをすると、僕の辞職を知らない人たちは「え、自治体にでも行くの?」という反応。つまり、自治体や独立行政法人に出向する場合にも、国家公務員をいったん辞職して出向することになる(ただし退職手当は支給されない)ので、そのような形式的な辞職と認識するのである。「本当に辞めるんです」と、もう1枚の退職手当辞令の方を見せながら説明するのだが、絶句するか、「何で?」「冗談でしょう?」といった反応が多い。やはり国家公務員の定年退職以外の辞職というのはまだまだ珍しいという証か?人事報酬制度が年功序列で、かつ、こんな認識が一般的な中で官民交流を進めることは可能なのだろうか?


最後に自分が座っていた机の上を布巾がけしていると、周囲から「ちゃんとしてますねぇ」というお誉めの声。立つ鳥跡を濁さずと当然のことをやっていたつもりなのだが、話を聞くと、最近は机の書類整理止まりが一般的で、最後に机を拭いて去るというのはあまり流行らないらしい。次に同じ机に座る人の気持ちを考えると、最初に座ったときに机が汚いとかなり萎えると思うのだが、どうだろうか。


そんなこんなの役人最終日であった。