陪審法廷

楡周平の本である。米国フロリダ州で義憤に駆られて殺人を犯した15歳の少年が罪に問われるかどうかというストーリーで、第一級殺人で有罪とされれば仮釈放なしの終身刑、第二級殺人で有罪とされれば25年以上の有期刑、それとも無罪かという選択を陪審員たちが突きつけられる。陪審は量刑まで判断することができないので、有罪になるか無罪になるかであまりにも少年の将来が変わってくることが、陪審員たちを悩ませる。一貫して何となく結論が見えており、そこに向かってストーリー展開をしているので、安心して読み進められるといえばそうだし、ハラハラ感がないといえばそれもそう。米国における陪審制度の問題点をえぐり、近い将来日本にも導入される裁判員制度に対して「必ずしもバラ色ではないんだよ」と警鐘を鳴らしているところがポイントなのだろう。楡小説としては、平均のちょい上というくらいのレベル。


陪審法廷

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