来年度予算案の内示

いったい来年度の予算はいつ成立するのだろうかという疑問はさておき、財務省原案が内示された。景気の先行きの不透明さ、政治状況の混迷といった要因が影響しているのか、保守的な中身だなあというのが第一印象。今後、社会保障費をはじめとする義務的経費がどんどん膨らんでいくので、政策的に配分できる額が相対的にどんどん減っていくが、この国の将来を考える際に、政策のプライオリティ付けが10数年前の価値観に縛られ固定化されているシーリング制でやっていては国際的にも国内的にもジリ貧となること明白である。もちろん何のルールなく好き勝手に予算要求して査定するというのでは、ただでさえ労力のかかる予算策定過程が余計に複雑化するし、要求側の力量と財務省の主査の査定能力によってばらつきが出てしまうというリスクがあるので好ましくない。しかし、単なる役人の作文に成り下がってしまった骨太の方針とは別に、どこかで真剣に日本のあるべき姿を議論し尽くし、そこに至るための道筋として次年度の予算の大きな方向付けをするプロセスが必要だろう。同じようなこと、当然財務省内部でも議論があるのだとは思うが、どうしてごく当たり前の正しいことがきちんとやれない仕組みになっているのだろうか。