ガソリン税の件

民主党揮発油税暫定税率問題を政治争点化している。たしかに、田中政権時に道路を造るために道路特定財源というものができ、そしてその特定財源の規模を増やすために暫定税率の措置を設けたものが30年にわたって延長されているのはおかしなことである。これが道路族の国会議員から地方の中小建設会社に至るまで1つの大きな利権構造となって日本の経済構造を歪ませている面は否めない。

一方で、消費することによって皆の共有物である環境に負荷を与えるガソリンに対し、消費量に応じて一定の税率を課すことは正しいことなのではないか。民主党の主張のように暫定税率を廃止してガソリン1L当たり25円価格を下げることは、明らかに不必要な自動車利用を増やしさらに公共交通機関を衰退させるし、自動車メーカーの脱石油努力を停滞させることにつながる。民主党が弱いとされる地方部の票(建設業者以外の票)を増やすためには、自動車利用の多い地方部に訴求するこういったばらまき施策が必要なのかもしれないが、このような国益のあり方を考えない主張は野党第一党として責任ある主張とは思えない。

解としては、揮発油税暫定税率部分を恒久化した上で一般財源化し、そのときの行政需要に応じてその財源の利用方法を柔軟に変えられるようにするというのが適当であるように思う。今であれば国債償還、環境対策、福祉対策だろうか。国会では国民受けを狙った安易な議論でなく、国権の最高機関らしくきちんと全体を見据えた議論をしてほしいもの。