For You

30代半ばになって純愛物で感動するとは思わなかったが、この本は良かった。急死してしまった叔母がどうして生涯を通じて浮いた話がなかったのか、まるで母子のように生活してきた姪が叔母の家を後片付けしているときに見つけた叔母の日記にその答えがあった。静岡で育った叔母の高校時代、大学時代の素朴な恋愛体験と、姪の現在の仕事の進行がシンクロしながら物語が進んでいくのだが、一見関係ない2つの話がどうして並行して書かれているのかが徐々に明らかとなっていく。それにしても、どうして男性作家がここまで女性心理の機微を細かく描写できるのかが不思議になってしまった。作家という職業はすごい。

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