「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく

留学先の大先輩である樋口さんの「まずい!!」学の新書第二弾を読んだ。前著では大事故や大事件の背景を緻密に分析して、JR西日本JALなど日本を代表する企業のリスクマネジメントの稚拙さを論じていたが、今回もそうした企業や組織の失敗事例を材料にして、取り返しの付かない失敗が生じてしまう構図を分析している。パロマのガス器具の事故、ふじみの市のプール事故、「あるある」の番組捏造事件、社会保険庁の不祥事などなど、社会を揺るがすような事件・事故が起きているにも関わらず、次々と新たに似たような構図の事件・事故が発生するのはなぜなのかということをテーマとしている。どうも背景にあるのは、現場レベルの小さなウソやごまかしが恒常化し、それがおかしいというチェック機能が麻痺してしまっているところにあるようだ。かといって、現場をがんじがらめに縛ってしまっても効率性が著しく落ちてしまう。現場を信頼しながら、かつ、自律的にそのようなウソ・ごまかしが申告されるシステムというのは成り立ち得るのだろうか。ぜひ二冊セットで皆さんに読んでもらいたい本である。