奇跡のタッチダウン

リーガルサスペンスを生業としてきたジョン・グリシャムが突然アメフトを題材に本を書いてきた。リーガル系の方では最近、すっかり行き詰まっており、ヒットはあってもホームランはなかったので、すわスポーツ小説に転進したのかと思い、どんな内容なのか確かめたくてさっそく読んでみた。アメリカ本国で散々の成績だった満身創痍のNFLの三番手クォーターバックがひょんなきっかけからイタリアリーグへ転戦し、NFL当時とは比べものにならない薄給ながらも活躍し、同時に私生活も好転していくという単純明快なストーリーである。基本的なストーリー展開の方向性が見えるので、読者としても安心しながら読み進めることができるのが、これまでのグリシャムの小説とは大きく異なるところである。映画化も決まっているとのことで、この内容であればなかなか面白い映画になりそうだなと思った。これまでのグリシャムの小説を期待する人には不向きだが、ほんわかとした幸せな気持ちを共有したい人にはお薦めの小説である。