ハードカバーの値段が上がっている

最近ようやく気づいたのだが、ハードカバーの本の値段が微妙に上がっている。以前、某出版社の編集長と話した際には、「ハードカバーでは1,500円というのが一つの大きな値段の目安で、それ以上だと消費者は購入する心理的障壁が急に高まるので、ある程度販売部数が期待できる内容の本は通常は1,500円以下のプライシングをする」とのことだった。しかし、最近はそのセオリーに反し、1,600円とか1,700円という値付けをするハードカバーが圧倒的に多い。出版コスト自体が上がっているという事情はもちろんあるのだろうが、それよりも影響が大きいのはアマゾンとか楽天ブックスが1,500円以上の商品について送料を無料にしていることではないだろうか。本体価格が1,400円であっても送料を加えれば本体価格1,600円の本よりも総支出額は増えてしまう。したがって、1,500円未満のハードカバーについて、逆に消費者の購入に対する心理的障壁が高まっている逆転現象が起きているということはなかろうか。アマゾンのシェアはまだまだ小さいとはいえ、アマゾンでベストセラーになれば一般書店でも売れるという時代、アマゾン対策というのは各出版社にとって重要なのだろう。