ゆっくりとした素晴らしい成長

ほぼ毎日のようにコーヒーを買いに行くスターバックスで精神障がい者の方が働いている。彼女はいつもレジ打ちの担当なのだが、ちゃんと女性のベテランの方がサポートで後ろにおり、辛抱強く見守り、間違いそうになったり困ったりしたときにすかさずにこやかに指導に入る。このサポートの方がイライラしたりましてや怒ったりしたことは見たことがなく、何と人格的に素晴らしい方なんだろうといつも密かに感じていた。このサポートの方の粘り強い指導のお陰なのだろう、精神障がい者の方の注文取りと金銭のやり取りは相当に技術が向上し、たとえ1万円札を出してもきちんと処理できるようにまで成長している。

今日びっくりしたのは、彼女が商品を作る部隊に入っていたこと。とうとうレジ業務は一人前にできると認められ、他のバイトと同様に違う業務もこなせるようにということなのだろう。たとえば、ラテを作る際のミルクの配分とか最後の泡の追加とかなかなか難しいと思うのだが、きちんとこなしていた。きっとあの指導役の女性の下でこれまで裏側でずっと練習していたのだろう。

成長が遅いとすぐに見放される業界にいるせいか、このようにじっくりと我慢強く育てるのを見ていると胸が掬われる思いがする。規制があるとはいえこのようにきちんと障がい者が働く環境を整えているスターバックス、我慢強く指導している支援者、そしてもちろん障がい者自身の成長意欲があって、今日僕が驚いたような嬉しい状況が起こったのだろうが、こういう個人個人の能力に合わせて適切な環境を与え、ドロップアウトを出さない仕組みというものをたとえば教育とかニートとか他の近接部門にも展開できないものだろうか。