シュガーケイン・トレイン

quechee2009-05-01

マウイはかつてはサトウキビの有数の産地だったということで、そのサトウキビ(シュガーケイン)を港へ運ぶための鉄道が島内を縦横に走っていたという。そのうちの1つが観光鉄道化されて西マウイ地区に残っている。ラハイナとカアナパリの10キロ程度の距離を片道30分くらいかけてゆっくりと走っており、今日はそのシュガーケイン・トレインに乗ってみた。小さな蒸気機関車に客車が4両というかわいい汽車である。

人が走るのよりはちょっと速いくらいの速さでしか走れない汽車に揺られながら2つ考えたことがある。1つは、明治時代の人たちは同じように原始的な汽車に乗って、たとえば東京と大阪の間を長い時間かけて移動し、相当大変だったんだろうなあということ。もちろん人が自分の足で移動するよりは速いのだが、揺れが大きい上に堅い座席に長時間座らされ、すさまじい苦行だったのではないかと推察。それよりも歩かずに勝手に移動できる喜び、好奇心が上回ったのだろうか。

もう1つはより本質的なことなのだが、ゆっくり移動することで初めて発見できる風景があるのだということ。シュガーケイン・トレインに平行して走る道路はこれまで車で何十往復もしており、見慣れた風景なのだが、汽車に乗って初めて気づく建物、人々の生活、匂いなどが結構ある。日頃、要領よくスピーディーに仕事をこなすことが美徳とされる世界で過ごしていて、実はそのせいで見落としてきた大事なことがたくさんあるのかもしれない。低速で走りすぎると今度は全体感を見失ってしまうが、高速で走る中で時には低速でじっくりと物事に取り組んでみることも大事なんだろうなあと考えさせられた。