隔離措置

新型インフル弱毒性であるということが明らかになりつつなる中、舛添さん以下の厚生労働省がノースウェスト便で帰国して感染が判明した者に加え、感染者の近くに座っていた乗客たちに対して隔離措置を取った。この措置により彼らは10日間もホテルに缶詰にされるらしいが、こういう強い措置命令を発出することの是非について議論がある。人によっては、「感染の疑いのある者まで税金を使って10日間も隔離するのはやりすぎだ」などと言っているようだが、この場合、厚生労働省は最善の措置を講じているように思う。弱毒性が明らかになりつつあるとはいえ、まだそのすべてが解明されたわけではなく、実際に海外では死者も出ているウィルスであり、その国内進入を水際で止めるために現段階でできるあらゆる措置を講じる(後の時代から見て過剰であっても)のはしごくもっともである。いったん国内侵入を許してしまったら、通常のインフルエンザと同様に感染者の把握は困難になり、大量流行のリスクも孕んでしまう。

とはいえ、水際作戦だけではどうしても漏れが生じてしまうのも事実。批判者は「それみたことか」と言うだろうが、漏れが出るのはもとより織り込み済みであろう。大事なのは漏れてしまった感染者をできるだけ早く病院に収容し隔離するシステムであり、だからこそ保健所が健康調査をしたり、マスコミを使って周知したり、診療拒否する病院に対して是正指導したりしているのだろう。

地震の後の危機管理もこの10年でだいぶまともになったが、ウィルス対策も訓練だけでは限界があり、実際に何回か本番を経ないと細部まできちんと行き届いたシステムは出来上がらない。新型インフルがどこまで広がるのかについてはまだ予断を許さないが、今回の騒動は、将来、更に強力なウィルスが流行する際の予行演習的な要素も大いに含まれている。