盲目のピアニスト

米国テキサス州で開催されていたピアノのコンテストで盲目のピアニストである日本人の辻井さんが優勝したというニュース。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンテストというのは、1962年から4年おきに開催されて半世紀の歴史を刻んでおり、若手の登竜門的なコンテストとして位置づけられているなかなか権威のあるコンテストらしい。そのようなコンテストで、健常者を相手に大きなハンデを背負った辻井さんがライバルをすべて退けて優勝した(しかも日本人初)というのは驚愕である。たしかにベートーベンに代表されるように知覚に障がいをを抱える音楽家というのは歴史上に存在してきたが、後天的なものが多かったのではないか。それに対して、辻井さんは出生時から全盲だったということで、譜面を読むことができず、耳と指のみで音楽とピアノを覚え鍛えてきたのだろう。知覚のどれかに障がいがあると障がいのない知覚が敏感になると言うが、それにしても普通に考えたらピアノの世界にチャレンジするところからあきらめてしまうのではないか。本人もすごいが、チャレンジを促し支援し続けたお母さんもすごい。何の障がいもないくせに、のうのうと大したチャレンジなくこれまで生きている自分がちょっと恥ずかしくなるニュースだった。