国民の声

「国民の声」という用語が流行語大賞が発表されてしまった後の今、年末の流行語となりそうな勢いだが、「国民」という用語は抽象的であり、用法に十分注意しないと危険な用語である。小沢さんだけでなく、役人が好んで使う用語でもある。類似の用語として「国益」などというものもある。何で特に公的セクターにいる人たちが好んで使うのかを考えると、誰もが反論しづらい正当性を持つ強い言葉であり、主体についてそれ以上の具体的な説明を省略することができるからだろう。憲法にも「国民」という用語があり、各条の「国民」をどのように解するのかというのが一大論点であったりもするが、それくらいに難しい用語である。

今回の「国民の声」も多くの人々が「俺はそんなこと言ってないよ」と思っているに違いないが、特に公的セクターにいる人たちには、自分の使っている「国民」という言葉が具体的に何を意図しているのかを常に気にしてほしいし、できればブレイクダウンして説明してほしいと思う。もっとも、それをしたくないがために意図的に使うケースが大半なのだろうが。