組織を伸ばす人、潰す人

この間までマーサーの社長だった柴田さんの著作。柴田さんは毎週土曜日にメルマガを発行しているのだが、それを単行本にまとめている。さすが色々な企業のトップから相談を持ちかけられ、人事面の問題を色々と見てコンサルティングしてきた経験を感じさせるコラム集で、社員のモチベーションをどのように維持し、向上させるかということに主眼を置き、そのためのリーダーの心得を述べている。基本は、やはり社員とのコミュニケーションを怠らないことであり、ストレスなくコミュニケーションを行うための環境づくり、双方向のコミュニケーションを継続するためにリーダーが努力すべきこと、特に組織の皆が近視眼的になって「集団皿回し状態」に陥らないようにするための工夫など、リーダーでない人間が読んでも示唆に富む内容。ただ、書かれている内容は一つ一つはしごく当たり前のことなのだが、それらをすべて継続して実践しようとするとそれはそれで難しい。3割でもきちんと実践できれば、かなりよいリーダーだと思う。この点、柴田さんは、「一人の人間が長年トップを務めるべきではない」というポリシーを自らきちんと守って、業績絶好調のうちに惜しまれつつマーサーを退いたのはなかなかできない決断であり、素晴らしい。その有言実行の部分だけでも真似したいもの。


組織を伸ばす人、潰す人 社員の「成長スイッチ」をONにするリーダーの条件

組織を伸ばす人、潰す人 社員の「成長スイッチ」をONにするリーダーの条件