エコハウス私論

環境省の現職幹部が、ご自身のエコハウスの建築と居住を通じて得た経験や示唆を記した本である。最近、テレビも新聞も温暖化問題ばやりで、むしろ温暖化という言葉を目にしない日の方が少なくなっているが、国として○%減らす必要があるなどといった既に抽象的なマクロの議論をしている段階ではなく、具体的な対策を積み上げるミクロの議論をしなければならない。そんな状況の中で、市民一人一人が日々の生活の中でちょっと生活慣習を改善をすることでいったいどれくらい減らせるのか、ちょっと設備投資など努力すればいったいどうなのか(設備投資すると光熱費がどれだけ浮くのか)ということをきちんと示すことで、問題意識を掘り起こし、取り組みを促す努力をするのは国の重要な任務だと思う。本書は、役人の書いた文章とは思えない柔らかいタッチで書かれており、また内容がかなり現実的・具体的であり、自らエコハウスを造りたいと思わせてくれる(その前にそのための資金が必要だが)良書である。エコハウスを実際に建てたいと考えている人だけでなく、環境にちょっとでも関心のあるけれども具体的に何をしたらよいのかが分からない人の入門書としてもよいのではないか。


エコハウス私論―建てて住む。サスティナブルに暮らす家 (ソトコト新書)

エコハウス私論―建てて住む。サスティナブルに暮らす家 (ソトコト新書)