次期日銀総裁

今国会の同意人事の目玉となっているのが次期日銀総裁。順当であれば大本命の武藤副総裁が問題なく国会の同意を得て今春昇格するというスケジュールだったはずだが、民主党が武藤氏の元財務事務次官という履歴に当初アレルギー反応を示したため、最悪、総裁空席となるのか?などと案じられるくらいに雲行きが怪しくなった。ところが、ここにきて民主党が武藤氏容認論に傾いているという。いったい誰と誰の間でどういう裏取引があったのかよく分からないが、実質的な候補者が武藤氏しかいないこと、金融情勢が不安定な中でその責任者が空席となるのが民主党のせいにされるのはまずいといった背景事情があるのだろう。


武藤氏とお会いしたことはないので伝聞だが、かなり親御肌の方で、財務省でも日銀でも人望が厚いとのこと。リーダーとして人望は必要不可欠な要件だが、一方で、財務省出身というのは財金分離の観点から問題があるように思う。国の借金が雪だるま式に増える過程で30年以上も財務省にいれば、どうしても思考が緊縮財政に凝り固まっているのではないかという懸念は少なくとも外形的には存在する。仮に「国の借金を増やさないためには金利は低くあるべき」と無意識にでも考えていれば、金融緩和状態がさらに続き、いざ引き締めが必要となった時点での判断が遅くなりはしまいか。本人が中立な判断を下せる能力を持っていたとしても、財務省と近すぎるがゆえに陰に陽に雑音が入る可能性も否定できない。武藤氏に対抗し得る人材が日銀内にいないのが残念である。


そういえば、ダボスの福田さんの演説、予想どおりだった。何のために現地滞在数時間のダボスくんだりまでしたのだろうか?政府専用機の往復+政府高官多数の随行は税金の無駄遣いだったか。