エクサバイト

服部真澄の新刊本。養老孟司佐藤優という面白い取り合わせで帯に書評を書いていたのでつい買ってしまった。彼女にしては珍しくSFチックな小説だが、近い将来に実現しそうなテーマを描いている。電子記憶装置がどんどん小型化・大容量化し、眉間に付けたアクセサリーのような小さなカメラで人の一生分のデータを楽々と記憶できてしまう装置が開発されたというところからストーリーが始まる。その録り貯めた映像を誰がどのように使うのか、膨大なデータをどのように処理するのか、情報の偽造をどのように判断するのか等々、現在でも起こっている情報に関する課題が未来になると更に大きくなるという筆者の問題意識が裏側に透けるようにスピーディーに展開していく。なかなか深い内容であり、色々と想像を巡らせながら読了した。

なお、表題の「エクサバイト」とはギガバイト、テラバイト、ペタバイトときて、その上の単位である。20年くらい前はバイト単位の世界だったことを考えると、20年後にエクサバイトの世界に突入していても何の不思議もない。

エクサバイト

エクサバイト