感動するサービス

ちょっとした仕事で、感動するサービスについて半日くらい調べる。色々な業界における顧客の感動体験を収集して、その中に共通項はあるのかないのかということを抽出するのが主題。リッツカールトン、ディズニーランド、旭山動物園サウスウエスト航空などの大御所はもちろんのこと、調べていくうちに、世の中にはちょっとしたこと、大きなこと含めて色々な感動体験が有象無象にあるものだなということを実感。一般的には顧客側に何らかの緊急事態・特殊事情が発生した際のサービスの機敏さ、柔軟さが感動を呼びケースが多いようで、顧客感動率の高い企業は、このようなニーズが発生した際にうまく乗じて、顧客が望む以上の適切な対処をしているケースが多い。

このような対応方法はすべてマニュアル化はできず、最終的には従業員一人一人の柔軟な顧客目線の対応に委ねるしかない。なぜなら、そもそも感動とはサービスに対する顧客の期待値に対してそれを大幅に上回った場合(単に上回っただけでは「満足」に過ぎない)に起きるものだが、同じサービスでも顧客ごとに期待値は異なるし、複数あるサービスの評価軸(サービスそのものの質、サービスが提供される際の外部環境、従業員の応対、タイミングなどなど)の優劣のつけ方や採点方法も顧客ごと・業態ごとに異なってくるからである。ただ、「マニュアル化できないから仕方ない」とあきらめてしまうと話はそこで終わってしまう。

顧客感動率の高い企業というのが実際に存在しており、一般的に言えるのは、これらの企業は共通にそもそもの顧客サービスの質が高く、サービスの質を高めるための日常的な訓練を怠っていないという点。顧客視点に常に立って行動することの大切さを体感的に従業員に根付かせるためのリーダーシップ、研修等はもちろんのこと、顧客のニーズの愚直な可視化から始まり、優良事例の共有、従業員ごとの提供サービスの質の評価・表彰、従業員の主体的な取組を促すための裁量の大幅委譲などなど色々な仕組みを導入している。「○○の場合には、××すること」などといちいち顧客の有事を想定してマニュアル化するのは困難であるし、マニュアル化したところで感動を与えられるとも思えないが、従業員が働く上での方向性・モチベーションの付与(会社でなくて顧客を常に見るということ)、従業員が顧客に対して感動を与えるための周辺環境の整備についてはマニュアル化・仕組み化できることは依然多く、それを実践しているということなのだろう。