ジーン・ワルツ

あの「チームバチスタの栄光」の海堂さんの作品である。さすが現役の勤務医であり、描写にすごくリアリティがあるのがこの人の作品の魅力なのだろう。今回の作品を通じ、一貫して行政と大学(医局)による我が国の医療と少子化対策の過ちを暗に糾弾している。もちろん小説自体はフィクションで、産婦人科医療に問題意識を抱えたある若きエリート女医兼大学教員が、行政や医局の直接間接の妨害に遭いながらも自分の信念に基づいて理想の産婦人科医療を追求していくというストーリーなのだが、このストーリーの面白さはもちろんのこと、時々新聞などで話題となる医療問題、少子化問題の根底にある病巣について初めて理解することができ、自分としてはすごく勉強になった。チームバチスタよりはだいぶシリアス度が上がっている本格医療小説である。

ジーン・ワルツ

ジーン・ワルツ