今回の旅行のフィナーレの結婚式

quechee2009-09-22

いよいよ長かった世界一周旅行も大詰めとなっている。フランスに立ち寄った2つの目的、つまり、友人の結婚式への出席とオルセー美術館攻略を今日1日でまとめてやってしまおうという意欲的なプラン。

まずオルセーである。火曜日はルーブルオランジュリーも休館日なのでオルセーに観光客が集中するだろうという想定の下、開館したらすぐに入った方がいいだろうと考え、開館時間の9:30に着くようにホテルを出発。結婚式の装い(といっても略装だが)とおみやげ類を持参してのかなり重装備。開館時間に到着したものの、既に行列ができており(相変わらず日本人が多い)オルセー人気のすごさをみせつけられる。クロークに荷物を預けていよいよ戦闘開始である。15年前からマイナーなリフォームもしているようでちょっと勝手が違う。絵も少し動かしているようである。まずは地上階から回り始める。ミレーの「晩鐘」や「落穂拾い」などが何とも無造作に展示してあるのに前回はショックを受けたが、今回もそれは同様。そして歴史を追ってマネやモネ、シスレーなどの印象派も続く。これでもかというくらいたくさんの良質の絵、どれもこれも学校の教科書やその辺の美術関係の記事などで引用されている絵ばかりであり、本当にオルセーのコレクションというのは素晴らしい。結局、地上階を攻略するのに2時間くらいかかってしまった。午前中だけで結構疲れてしまい、2階のこれもセンスのよいレストランでランチ。日本人がそろいも揃って「本日のランチ」を食べているのを見て反発したくなり、煮オニオンのサラダというのを頼んでみた。これボリュームはそれほどではなかったもののなかなかの美味で正解だった。

午後からは5階に上がり、実はここからが本番。印象派のコレクションが大勢を占めるフロアである。ルノワールセザンヌゴーギャンゴッホ、モネ、シスレーなどなど。オルセー美術館の質・量ともにの圧倒は更に続く。個人的にはセザンヌシスレーが大好きであり、両者の絵がこれだけ豊富にあるのは本当に感動ものである。ただ、セザンヌは他の美術館への貸出が多いのか、彼の絵でたびたび登場するサンビクトワール山絡みは1点しか展示されていなかったのがちょっと残念。また、スペースの都合上、展示されていない絵も相当数に上るに違いない。5階を3時間くらいかけて回りきり、お腹一杯を通り越している状態、すっかり疲労・虚脱の状態である。これでミッションの一つを無事達成、本当であればもう1日くらいゆっくり訪れたいもの。

オルセーだけでもう満足と言っていられないのが今日の強行軍。16時からはいよいよ本目的のS嬢の結婚式。幸いにしてオルセーからセーヌ川沿いに下っていった徒歩圏内に教会があったので、ちょっと汗ばむくらいの陽気の中、オルセーでの興奮を冷ましながら歩いていく。教会はすぐに簡単に見つかった。既に親族は集まっており、S家側から参列のお父さんと妹さん、新郎側のご両親にご挨拶。両家含めて10名程度のアットホームな式なので、すぐに皆さんの顔と名前は一致である。式はフランス語ではなく英語で執り行われ、一安心。神父さんがご自分の言葉で長々とお二人に説教を述べていたのが印象的だった。日本のサラリーマン神父ではこんなことはまずないのではないか。日和もロケーションも雰囲気も良く、良い結婚式だった。お二人はこれから3年くらいフランスで過ごすわけだが、ぜひ幸せな家庭を築いてもらいたいものである。

夜は結婚式に引き続いて、ささやかな晩餐会の場をお二人が用意してくれ、外様の僕も招待してくれた。場所は凱旋門近くの一つ星レストラン「ステラマリス」という店で、よくよく聞くと、あのタテルヨシノの店とのこと。タテルヨシノは日本に在住なものとすっかり思っていたが、パリを本拠地にしており、日本のタテルヨシノは主に弟子たちが切り盛りしているらしい。本場の星付きのレストランなんて生涯初めてなので、若干緊張気味に入店したらいきなり「いらっしゃいませ」という日本語の声。これじゃ日本のフレンチと一緒じゃないかとちょっと拍子抜け。注文取りなどすべて日本語であり、親切でそうしてくれているのだろうが、本場の雰囲気を味わうという意味では足りなかった。とはいえ、料理は当然おいしく、また会自体も楽しかった。S嬢の妹のMさんは一回り以上違う妹なのだが、顔だけでなく性格もよく似ているのが分かり、すごく面白かった。またお父さんもこの娘たちにしてこの父ありという感じであり、70近くになってまだ現役、上海に単身赴任とのこと。大学生の妹が卒業するまでは頑張らないととおっしゃっていた。僕はとてもではないがそんな年齢まで働く気がしない。

いやあ、本当に満足な旅行のフィナーレだった。あとは日本に無事に帰国するのみ。