羽田空港の機能強化の主張

ここ数日、前原さんの羽田空港の機能強化の主張が世間を賑わせている。正論であり、その方向へ向け、投資の優先順位付けをきちんとつけつつ、官による不自然な統制は廃していくべきである。千葉県知事はこれまでの成田空港の建設・拡張に関する悲しい歴史を根拠に猛反対しているようだが、いつまでも過去に目を向けるのではなく、未来に目を向けて考えることが必要だろう。消費者の視点に立てば、百人中九十人以上が賛成する話であり、それがサプライヤーロジックにより実現されずにいる。羽田空港のキャパが新滑走路の完成により増え、消費者のニーズを満たすに足るようになるのであれば、それを活用しない手はない。

この正論とともに、論議を呼んでいるのが前原さんのコミュニケーションスタイル。関係者に根回しをしないまま、既存の常識からは過激に聞こえるようなことを次々とぶち上げ、コミュニケーション能力の欠如を批判されている。しかし、前原さんも意識的にKYを貫いている節がある。責任ある立場で、わざと議論を呼ぶような主張を唐突に行い、反対派の出鼻をくじくとともにスピード感のある解決を目指しているのではないか。利害関係者に根回しをしたからといって議論が紛糾するだけで何の進展も予想されないのであれば、いっそ最初から世間一般に問うた方がよい。

既得権の総本山たる国土交通省に前原さんが大臣として入ったのは、実は前原さんが強いとされる安全保障関係の大臣に充てるよりもずっとよい人選だと思う。